リック
男。バウンティハンター(サンフランシスコに雇われている公務員)。アンドロイドを廃棄処理することで、一体につき千ドルの懸賞を貰える。羊に精巧に似せた模造生物である電気羊を、住んでいる集合住宅の屋上で飼っている。
イーラン
リックの妻、なんか知らんけど鬱っぽい。最初の場面は、情動オルガンに感情の制御を任せている。
ブライアント警視
リックの上司。男。それ以外の情報は特にない。リックに、フォークト=カンプフ検査法が有効であることの裏付けや、すぐにネクサス6型を処理するように命令する。
リックの先輩。ネクサス6型の廃棄処理中に、重症を負う。
レイチェルローゼン
ネクサス6型のアンドロイド。同型のアンドロイドを生産するローゼン協会で過ごしている。リックが、アンドロイドという非生物に感情移入させるように仕向けた。
イジドア
特殊者。ピンボケ。放射性の灰が降るようになった地球で、知能テストに合格しない場合、火星への移住は認められないし、普通の生活は送れない。そのような者は、特殊者と呼ばれる。
プリス
レイチェルローゼンと同型のアンドロイド。火星から脱走したアンドロイドの一人。前は、イジドアだけが住んでいた集合住宅に逃げてきた。
ラフト
脱走した女型アンドロイドの一人。有名なオペラ歌手だった。リックがアンドロイドに感情移入し始めるきっかけとなる。
人間とアンドロイドの境界に立つ壁が、バウンティハンター。その2つに違いがあるとすれば、感情移入するかしないかである。だから、人間は動物を飼育し、それに感情移入することを重要視するようになった。最終大戦で、大量の生物の絶滅が起こったのも、それを後押しする理由だろう。
しかし、冒頭でリックは電気羊を飼っている。リック自身、それを引け目に感じていた。かつては、生物の羊だったが、それに似せた電気羊を飼うことが、最初に問題として提起されていたことを、読み終わってから気づいた。
対象は羊であっても、人であっても同じなのでは、という疑問を抱き始めたリックは、葛藤するようになった。
最後には、脱走したアンドロイドはすべて処理したが、リックが抱いたアンドロイドであるレイチェルローゼンは処理しなかった。感情移入してしまったからだと思う。物語の最後は、よく分からん終わり方だった。